北里大学薬学部 薬物動態学

文献講読ゼミ

文献講読ゼミ

論文は、単に読むことが目的ではなく、内容を消化して困っている問題を解決することや、更に新たな課題や研究へと応用することに価値があります。

また、日々増加する研究論文の量は極めて膨大なもので、読み手には情報の取捨選択技能が必要とされます。

文献講読ゼミでは、主に臨床研究の論文を対象に、限られた時間で要点を正しくとらえ、論文情報を最大限処理するための技能や統計学的手法を取り扱うリテラシーをトレーニングします。

[3年生、4年生対象 選択科目]

2023年度[後期]

【全9回(1回100分)】オンライン開講

薬物動態学の文献講読ゼミでは、専門領域を問わずタイムリーな話題を取り上げます
2023年度は、ChatGPT を用いて 第117回医師国家試験 (2023年2月) を解かせた論文をゼミの演習で用いました。
受講生自身も実際に ChatGPT を操作しながら論文を再現 (医師国家試験を解答) し、3.5 と 4.0 の性能の違いや再現性(個体内、個体間)を体感しました。

受講終了時に行った調査では、ChatGPTに対する基本的知識、ポジティブな印象、適正使用のリテラシーについて、同年代の薬学生と比較し高いスコアを示しました。文献読解技術や統計学的手法とともに、ChatGPT の上手な使い方や注意点も学ぶことができたと思います。一方、生成 AI の利用規約等に関する正しい知識は、文献講読ゼミではなく専用の機会を設けて教育する必要があると考えます。

2022年度[後期]

【全9回(1回100分)】2022年度もオンライン形式で開講しました。非専門領域をテーマに、薬物動態学、臨床薬剤疫学、薬物治療学の教員や配属生が参加しました。

2021年度[後期]

【全9回(1回100分)】2021年度も Zoom を使用し、オンライン形式で開講しました臨床薬剤疫学の教員、薬物動態学や薬物治療学の先輩方も参加し、毎週一緒に演習や課題へ取り組みました

2020年度[後期]

【全9回(1回100分)】Zoom を使用し、オンライン形式で実施されました。毎回、他の研究室の教員や卒論生の参加があり、様々な立場の考え方を学ぶことができました。

【第1回】論文とは:自己紹介でZOOMの操作や機能を覚え、PubMedの基本操作を学びました。課題がタイムリーで興味が湧きました。

【第2回】疑問の定式化:PubMedの検索方法や検索式の作り方を学びました。使い手側の検索技術が大切と感じました。

【第3回】論文の構造:PubMed検索結果の読み方を学びました。自動翻訳を習得しました、これは便利!同じ論文を読んでいるのに、みんなが要約したPECOがそれぞれ違ったのが印象的でした。

【第4回】論文の読み方:論文の合理的な読み方を学びました。一週間で新たに登録された論文数の多さに驚きました。論文は時間を掛けて読むものだという先入観が根底から覆り、前回と今回を通じて論文に対する考え方が変わりました。

【第5回】基礎知識の整理:批判的吟味をさらに添削することで、前回と違う解釈になる部分がありました。論文に書いてあることが正しいのではなく、正しく読み取ることが大切と感じました。SARS-CoV-2について、遺伝子レベルの話を含めて最新の知識が整理できました。

【第6回】研究デザイン:研究をデザインするときに考慮することを学びました。現在、他の研究者たちがどのような研究に取り組んでいる最中なのかを知るために、研究プロトコルを検索するという発想とその手段を知りました。

【第7回】サンプルサイズ:PECOの重要性を再認識しました。過去の研究を検索しながら、新しい仮想研究を設定してそのサンプルサイズを計算しました。

【第8回】統計:統計学的な処理の方法を学び、同じデータなのに方法次第で結論が逆転することを知りました。サンプルサイズを見積もった前向き研究や、メタアナリシスの必要性を認識しました。

【第9回】まとめ:オッズとオッズ比を計算しました。ワールド杯の例でオッズの本来の意味が分かりました。最新の論文をその場でFINER判断する流れとスピードについていくことができるようになり、ゼミの受講を通じて成長したことを実感できました。